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知りたい。
私は悠馬に関することなら、どんな僅かな情報でも知っていたい。
だけど、悠馬は―…?
あの夜には語らなかった、まだ隠されていた事を本当に私が知りたいと望んでもいいの?
そう問いかけるように見つめてしまう。
「繭子さんは聞いたよね?俺がアイツの事を何て呼んだのか」
「―…ええ」
「その言葉の通りだよ。俺の父親は香美堂化粧品の創業者の息子。柘植基樹と俺は異母兄弟になる」
異母……兄弟……
悠馬と柘植さんが血の繋がりがある兄弟なんて―…
本当なの―…?
そんな念を押して確認する言葉は出ない。
「じゃあ、あの日、勤めていたお店で出会ったのは―…」
「柘植悠基。元、香美堂化粧品の社長で今は彩という幾つかの劇場を運営する会社の社長だよ。あの複合ビルを運営しているのも彼等の親類だ」
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