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その時、私の立っている少し先でドアが開き、幾人かの男性たちが出てきた。
ドアがあるのに気づかなかったけれど、そこは隠れ家のような店らしい。
人気がなくなってから近づいてみると、ダークな木調のどっしりした扉に何やらバーらしき名前が小さく書いてある。
私はそれまで一人でバーに入ったことがなかった。
恋愛小説ばかりで実体験の乏しい私の頭の中では、バーとはベタに“いい男といい女が出会う場所”だった。
後から思い返せば、この時の私はすでに相当酔っていたのだと思う。
そうでなければ、この時の発想と行動は普段の私では考えられなかった。
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