消したい夜

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東条主任は同じマーケティングチームの上司だけど、仕事全てを共有している訳ではない。 二人ともそれぞれに別のチームと別の仕事を持っていた。 でも、彼はいつも私に目をかけてくれていて、よく外ランチに連れ出しては公私の色んな相談に乗ってくれた。 今思えば干物女の勘違いもいいところだけど、彼が私に向けてくれる笑顔や言葉に特別なものが含まれているような気がしていた。 恋人と少し前に別れ、現在フリーだと聞いてからは、さりげなく好意を伝えようと頑張った。 そんなある日、東条主任が人目を憚るように私を食事に誘ってきた。 「明日の夜、空いてる?仕事のあと」 「えっ?空いてますけど……」 空いてます、いつでも空いてますと大声で叫びたいところをぐっと堪え、さりげなさを装う。 「友達がレストランやってるんだけどさ、行かない?紹介したいし」 少し前に勇気を出して私からご飯に誘ったものの、仕事が忙しくて実現しなかった。 あれを覚えていてくれたんだ。 彼からの初めてのお誘い。 しかもプライベートのお友達にも紹介されるって……。
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