消したい夜

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その夜、私はクローゼットからありったけの服を出して山と積み、ああでもないこうでもないと悩み倒した。 あまりセンスに自信はない。 けれど、オフィスで浮かない程度に精一杯女っぽいワンピースを選び、お風呂で肌をピカピカに磨いた。 気持ちを伝えてしまおうか? ダメ、そんな勇気出ない。 でも、もしいい雰囲気だったら? ベッドに入ってからも明け方まで悶々と悩みながら、いよいよ約束の夜を迎えた私は当惑した。 同じ職場なのに、なぜか待ち合わせは現地集合。 先に着いて待っていた私は、店の入り口に現れた東条主任を見て伸び上がり、勢いよく手を振った。 ……が、その手は途中で固まった。 東条主任が一人ではなかったからだ。
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