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次の日は店が休みだったので、ユイトはいつもよりゆっくりと
起きた。昨夜寝る時には殴られた頬に湿布を張ったが、起きて
剥がしてみるとまだあざが残っていた。
そのあざを見るだけで、昨夜のことが苦々しく思い出された。
先輩に突っかかってしまったのは、かなり稼いでいることへの羨ましさもあったのかもしれない。それでも、殴られたことにはムカっ腹が立った。
ユイトは朝食を摂ろうと準備に取りかかる。
と言っても、インスタントラーメンとかコンビニ弁当ということが
多い。たまに、気分を替えて自分で調理をすることもあるが、面倒
に思えてしまい、簡単に済ませてしまうことが多い。
実家にいた頃は、弟妹達のためにごはんを作ったこともあった
のだが、自分のためとなると途端に面倒くさくなってしまうのだ。
これでは体に良くないと頭ではわかっていても、ユイトはさほど食
に関して頓着がない。
特に今日は休みなので、つい手を抜いてしまう。
お湯を入れて3分でできたカップラーメンを啜っていると、ユイトの
携帯電話が着信を知らせる。電話がかかってきたもので、ディスプレイには店のオーナーの名が記されていた。
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