1章 仮面を被ったホスト

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 日本最大の歓楽街と言える街で、葛城ユイトは『鳳城蓮』という名でホストとして働いている。現在20歳のユイトだが、ホストになる前は地元の家電メーカーで働いていたものの、理由があり辞めたのだ。そして、ひょんなことから今の職に留まっていた。    ユイトがホストになったのは、前に務めていた店のオーナーからスカウトされたから。身長は175センチと程良く、全体的にスマートなシルエット。顔に関してはやや面長で細表であり、目は切れ長でどこかキツさを感じさせるが、そこが魅力だろう。その目が片方隠れるくらいに長めである前髪が、謎めいた雰囲気や色っぽさを醸している。   ユイトが今いる店は、ホストを始めてから3店目になる。『CLAN』と言って、 ”仲間”という意味があるそうだ。 黒い壁やテーブルが重厚感を与え、それに赤いソファでメリハリが付けられた店内になっている。このシックな店内の雰囲気だけは、ユイトは好きだ。  ユイトはホストになってまだ1年しか経っていないが、既に2回も店を替えているのだ。 定着せずに、店を転々とすることはあまり好ましいことではないだろう。しかし、 ユイトはなぜか、自分が意図しなくてもトラブルを起こしてしまうことなどがあり、店を移ることになってしまうのだ。 あまり転々としていると界隈でも噂になってしまうし、この街に居づらくなる。 だから、ユイトとしてもこれ以上店を移ることはまずいかと頭の隅では思っていた。
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