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「いらっしゃい」
その日、ユイトが接客したのはつい最近からユイトを指名するようになった客で、今はユイトに随分と執心していた。
ユイトを指名するようになったのは、ユイトが入店してからずっと気になっていたからなのだと言う。彼女がこっそりと教えてくれた。しかし、それまで指名していたホストに申し訳ないとも言っていた。
どうやら、新たに入った蓮に目移りしたようだ。
「蓮―、今日も来たよ」
「こんばんは、エリさん」
ユイトは満面の笑みを浮かべエリを迎えた。
エリは、その笑顔に見惚れている。ユイトは普段はクールに見えるが、笑顔がとても魅力的であり、そのギャップがいいとエリが言って
いた。
エリが、シートに着席したユイトに甘えモードで凭れかかる。
しかし、ユイトはなんとも感じない。 ふわりと良い香りがしても、
エリなどの客がどんなに触れたりしてもびくともしない。ユイトはゲイだからだ。
では、なぜ女性を相手にするホストをしているのか。それにはわけがあった。
会社を辞めたことからホストになったのだが、なぜホストに決めた
のかは家庭の事情が関わっていた。
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