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「じゃあ、7時頃にさ、俺んちの方の駅で待ち合わせようか」
「別にいいけど」
そう話しながら歩いていたら、いつの間にか奏一が電車に乗る駅に
辿り着いた。多きな路線ではないが、2駅先が奏一の住むエリア
なのだと言う。
ユイトが住んでいるのは、今いるこの場所から1駅先なので、割と
近いと言える。
「もう、用はないのかよ」
「付き合わせてごめんな。じゃ、来週ね。あんまり飲み過ぎないよう
にね」
そう言って、手を振りつつ奏一はその日帰っていった。
奏一は心配してくれているようだが、こうして心配してくれる人も
いないし、少し嬉しく思う。
日も徐々に傾いてきたし、ユイトもそろそろ出勤することにした。
けれど、いつもより僅かながら足取りが軽くなっていることに、
気付かないでいた。
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