1章 仮面を被ったホスト

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「ねー、私もそろそろアフターして欲しいな」  エリが来店してから暫く経った頃、ユイトにくっついてねだって くる。    アフターとは、ホストが客と飲み終わった後に店外で食事をしたり カラオケをすることで、いつも世話になっている客への、ホストから のサービスとも言える。 「そう?まぁ、いいよ、じゃあ今度ね」 「えー?今日じゃダメなの?」  エリは不服そうに口を尖らせた。 「んー?エリさんに合ういい店見つけておくから、その時にしよ。 それまで待ってて」  エリの耳元に口を近づけて甘く囁いた。 「わ、わかったよ…期待してるからね」 「うん。任せて」    そう言って、ユイトがエリの髪を撫でると、彼女は顔を赤らめて またもユイトに見惚れている。 「あ、そうだ…蓮ってさ、枕しないって噂で聞いたんだけど、本当?」    枕とは、つまり客と体の関係を持つという意味だ。ホストの中には 客と関係を持って繋ぎとめる者もいるとユイトも聞いたことがある。 突然何を言いだすのだと、内心ユイトは思った。  しかし、こんなことをあけすけに聞けるのは、付き合いが浅いながらもエリが ユイトを信頼しているからか、エリがあまり気にしないタイプだからだろうか。
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