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「宮下先輩、ずっと好きでした。俺と付き合って下さい」
「は、はい…?」
ぺこりと小さくお辞儀までされて。
なんだこれなんだこれなんなんだこれは。
脳内パニックを起こして一歩後ずさる。
というか、このまま逃げてしまいたい。
そうだ、逃げよう。
くるりと方向転換しようとするとすかさず腕を掴まれて佐季に捕獲され、「少々お待ち下さい」なんて営業スマイル振りまきながら、そのままずるずると道の端に追いやられる私。
「ちょっと何で逃げんのよ」
「だ、だって!知らない人にいきなりあんな事言われてどうしたら良いのか」
「郁、あの黒髪ボーイをもう一度よく見て。物腰柔らか、端正な顔立ち、おまけに二重。あたしの見立てだと背は推定172ってとこね。先輩って呼んでたからたぶん一年か。年下だけどまぁオッケー。って事で付き合いなさい」
「む、むむむむ無理だってば」
「あんな優良物件、このチャンス逃したらこの先あんた一生後悔するよ」
「あ、あの人は家じゃないよ佐季」
「そんなボケ今いらないから。ほら行け!」
「うわっととと!」
思い切り背中を押されて、私は不可抗力で男の子の胸にダイブしてしまい鼻をぶつける。
それでも急いで振り返った時にはもう遅し。
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