第二楽章ヘ短調~黒い乳房

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事件は、5月31日の夕方5時半過ぎに発生したのでありました。 よしえは、モスバでパート勤務を終えた後に、部活動をしているなおみを迎えにスズキラパン(軽自動車)を運転しまして、なおみが通っている中学校へ行ったのでありました。 この時、空はどす黒い雲がおおっていた上に遠方で雷がゴロゴロと鳴っていたのでありました。 (ゴロゴロ…ビユー…) 雷に加えて、生暖かい湿った風が吹いていましたので、大気の状態がより不安定になっていたのでありました。 (ドザー!!ドザー!!ドザー!!) よしえが運転しているラパンが学校の敷地に入った時には、雨が滝のように激しい音をたてて降りだしたのでありました。 白のブラウスとネイビーグレーのチェックのスカートの制服姿のなおみは、よしえが運転するラパンに乗り込んだ後に、学校を出まして、新琴似3条にあります自宅へ帰るのでありました。 家には、みつひこがイライラした気持ちでよしえとなおことなおみの帰りを待っていましたが、7歳の長男の安否が分からないので気持ちが不安定になっていたので、網走の湧別町から両親(母親77歳・父親79歳)と兄・みつとし(45歳・未婚)と妹・ゆいな(39歳・未婚)が来まして、必死になりましてみつひこをなだめていたのでありました。 よしえは、一刻でも早く7歳の長男が見つかってほしいと思っていましたので、仕事に手がつかない状態におちいっていましたので、気持ちがイライラとしていたのでありました。 車の中にて… なおみは、よしえに不安げな声でこう言ったのでありました。 「ママ…ねえママ…」 「何よぉ…」 「(7歳の長男)はいつになったら見つかるの?」 「だから…警察の人にお任せするしか他にはないでしょ…同じ事を何回も繰り返して言わないでよ…ママ…イライラしているのよ…」 よしえはこう言った後に、イライラとした気持ちで車の運転をしていましたので、なおみの気持ちはさらに不安定になっていたのでありました。 (ドザー!!ドザー!!ドザー!!) 学校を出発してから5分後に、雨は1時間に100ミリを超える猛烈な雨に変わったのでありました。 そんな中で、ゴツンと言うにぶい音が聞こえた後に400メートル先の交差点で大規模な追突事故が発生したのでありました。
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