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「けんいちろうさん…」
「何や?」
「けんいちろうさん…急にロッカーとデスクの整理をしていたので、何があったのかと思って…」
「何があったのかって…デスクとロッカーの整理をするのがいけないことなのかなぁ…」
けんいちろうは、女性職員から『やめてしまうのかなぁ…』と思われていましたが、けんいちろうは『そんなことはないよ…』と言う表情をしまして、女性職員にこう言ったのでありました。
「そんなことよりも、あなたは上の人から与えられた仕事をこなして、上の人の言うことを素直に聞いて…ここで働くことができることを感謝して暮らして行くことが大事じゃないかな…」
「けんいちろうさんはどうするのですか?」
「だから、人の心配よりもあなたは上の人から与えられた仕事をこなして、上の人の言うこと聞くことだけを考えていればいいのだよ…オレは…市役所以外にも、できる仕事が見つかったので…そっちの方に転向することにしたから…さーてと…課長はどこへ行ったのかな…ああ、たぶんサテン(喫茶店)へ行ってサテンのテレビでオリンピック中継を見てはるやろうね…」
けんいちろうは、上司の机の上に置かれている手提げ金庫をこじ開けて、金庫の中から大量に一万円札をくすねていたのでありました。
「前借りをするで…」
「けんいちろうさん…課長の机の上の手提げ金庫をこじ開けて…」
「やかましい!!職員のお給料をくすねて、市長と市議会議員と豪遊している課長ははがいたらしい(ムカツク)のでくすねてやるんや…おい、課長に言うなよ…課長から言われたら『豪遊するゼニがあるのだったら職員の給料に回せや!!』と言えばいいのだよ!!…ほな…」
けんいちろうは、女性職員にこう言った後に私物がぎっしりと入っている紙袋を持って、市役所から出て行ってしまったのでありました。
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