オカルト交響曲第16番ホ短調~黒い雨

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「かすみさん…」 「あら…(グループホームの世話人)さん…」 「かすみさん…ちょっとお話があるけれど…いいかしら…」 「お話?」 「うん…」 「あの~…一体どんなお話なのでしょうか?」 「かすみさん…ちょっと言いにくいお話なんだけど…今から一時間ほど前に朝倉の山の神社の森林で中学生の女の子がボロボロに傷ついてしまった状態で亡くなってしまった事件が発生したので…」 「(グループホームの世話人)さん…朝倉で発生した事件のことを、何でアタシに言うて来るのかしら!!」 かすみが思いきり怒っていましたので、世話人の女性は『どうしてそんなに怒っているのかしら…』としんどそうな声で言い返してきましたので、かすみはさらにいらだちを強めていたのでありました。 「(世話人の女性)さん…一体何が言いたいのでしょうか!?朝倉の事件のことは、どなたから聞かれたのですか!?」 「どなたからって…朝倉で暮らしている知人から聞いたのよ…」 「それだったら、何でアタシに話して来るのですか!?アタシ…家のことで気持ちがヒヘイしているのに…」 「かすみさん…困ったわね…かすみさん…あなたは一体何にビンカンになっているのかなぁ…」 「ビンカンになるわよぉ…けんいちろうが突然市役所をやめるとアタシたち家族に言うたので…思いきり困っているのよぉ…」 「市役所をやめるって?」 「うん…」 「まあ、もったいないわねぇ…せっかく安定した収入で、年収が600万円以上で終身雇用の市役所の仕事をやめるなんて…困ったわね…」 「(グループホームの世話人)さん…けんいちろうに会って、厳しく言ってよ!!」 「厳しく言うって?」 「だーかーらー!!市役所をやめたら他に行くことがないよ厳しく言ってよ!!」 「そうは言うけれど…」 「(グループホームの世話人)さん…」 「困ったわね…かすみさん…かすみさんはけんいちろうさんにどうしてほしいの?」 「どうしてほしいのって…市役所の仕事を続けてほしいのよ…」 「かすみさん…あなたは…けんいちろうさんに要求ばかりを突きつけていないかしら…」 「要求…要求ばかりを突きつけているだなんて…変なことを言わないでよ!!」 「かすみさん…」 「何なのですか(グループホームの世話人)さんは…アタシ…イラついているのよ…」
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