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「(けんいちろう)さま…」
「はい…」
「求職のお申し込みをなされましたね…」
「そうですけれど…」
「あの~…市役所は…いつ頃おやめになられたのでしょうか?」
「えっ?今日ですが…」
「今日、おやめになられたのですか…」
ハローワークの職員は、けんいちろうが急に市役所をやめてハローワークに求職の申し込みに来ていたので『どうして市役所を急にやめてしまったのかなぁ~』と心配そうな(…と言うよりもどうしてもったいないことをしたのかなぁ~)と言う表情をしていましたので、けんいちろうはハローワークの職員にこう言ったのでありました。
「もしもし…あんた!!」
「(ヤル気のない声で)はい?」
「面接を受けに行きたいのですが…」
「えっ?」
「えっ?じゃないでしょ!!」
「あっ…すみません…」
「お願いです…面接を受けに行きたいので、事業所に電話をしてください!!」
「電話をかけるわよぉ…」
「動いてください!!」
「動くわよぉ…その前に…ひとつだけお聞きしたいことがあるのです…」
「ひとつだけお聞きしたいことがあるだとぉ!?」
「あの~…雇用保険の証書は?」
「雇用保険?なんのことを言ってはるのでしょうか?」
「ですから、雇用保険の証書…」
「雇用保険の証書がどうかしたと言うのか!?」
「(けんいちろう)さん…雇用保険の証書を職場の担当者からもらっているのかどうか…」
「職場のことは知らねーよ!!職場の人間は、やめようとしている人に対して雇用保険の証書を出さなかった!!」
「本当なのでしょうか?」
「本当に出してもらえませんでした!!」
「そうですか…」
ハローワークの職員は、ますますヤル気のない声で言っていましたので、けんいちろうが面接の申し込みをしているのに、面接先の事業所に電話をかけることができなくなっていたようでありました。
けんいちろうは、ますます煮えきらない表情でハローワークの職員にこう言ったのでありました。
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