1 怒涛の一週間

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   疲れた……  案内された部屋のベッドに、丸太が膝を折るように倒れ込む。  ボヨンとリズム悪く身体が跳ねたあと、枕に埋まる頭がズブズブと底なしに沈んでいく。  アルコールを飲んでいるわけでもないのに、頭の中がグルグルと回って気分が悪い。  とにかくたどり着いたこのお洒落なホテルで、俺はやっと安心して休めるかもしれない。   「晃次、大丈夫?」 「もうダメ」  今日は母の誕生日。家族で食事をして、俺以外のみんながこのホテルで優雅に一泊する予定だった。  「晃次、水飲む?」  母の横で、姉も心配してくれているようだ。けれども、ここに転がる丸太の俺は、もう何の反応も起こせない。  瞼を開くことも、半開きの口を閉じることもできずに、意識が闇に暮れていく。  怒涛の一週間。  今は何も考えずに眠りたい。
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