第1章

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そうだよ。僕には助けを頼めるような人はいない。友達もいない。信頼を寄せる人もいない。 知り合いはいるんだ。会えば挨拶をして、雑談をする。そんな知り合いはいるんだ。 クラスメートは、友達ではない。ただのクラスメートだ。気軽に友達だなんて言えない。言いたくない。 なのに…一度話をしたら、友達だと上辺だけの付き合いに執着する人達。見ているだけでうんざりする。 僕は、そんな群れる人達に憐れみすら感じていた。 僕は、このまま、誰にも助けを求める事もなく、ずっとここにいるのだろうか…。 うっかり言ってしまった、誰か助けてって。ゼロの言うように誰でも助けてくれたら、それでいいのか。 そりゃここから出られるなら、誰が助けてくれても構わないよな…。 ふっ…ハハ…乾いた笑いが出る。 いったい誰が助けてくれるというのだろうか…。 そんな事…無に等しい。 僕はそんな現実が可笑しかった。 「ゼロ。君はどうして、ここにいるの?」 「ツバサ…。」 「ゼロ?」
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