第1章

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「ツバサ。俺な…実をいうと俺は翼を持っているんだ。」 「えっ?ゼロ、君には翼があるの?」 「ああ。俺…もうすぐ審判が下る。」 「審判?何それ…。」 「……。」 「あ…その…話したくなかったら、いい…無理に話さなくて…。」 「いや、話したくないわけじゃないよ。こんな事、話すのは初めてだから…。 俺の背中には今、白い翼があるんだ。 このまま白い翼か、黒い翼か、それとも翼を失うか…審判が下るのをここで待っているんだ。」 「翼を失ったらどうなるの?」 「人間になる。」 「人間に?」 「ああ。」 「えっ!ゼ、ゼロは人間じゃなかったの?」 「えっ…今さら?ぶはっ。やっぱりツバサは面白いな。」 姿を見せないゼロは人間ではないと言った。翼を持っていると言った。 姿を見てない所為か、そんな事は気にならなかった。 普通に話してた。人間でも人間じゃなくても、心は通じるんだ…。 見かけで拒否して友達にならない、話さない…。もし、ゼロが姿を見せていたら僕はゼロと話をしただろうか…。 今までの自分の器の小ささに嫌気が差す。 だけど、今、僕はゼロの友達だ。ゼロは大切な事を教えてくれた。きっと、姿が見えていてもゼロとは友達になっただろうと思った。
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