第1章

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そして…審判の時。 ゼロは白い翼のまま。翼を取られる事もなく、黒い翼になる事もなく、元の白い翼のままだった。 「ゼロ。良かったのか、どうなのか、僕には分からないけど…。たぶん、良かったんだよね。」 「ああ。ツバサ。良かったんだよ。ありがとう。俺…ツバサと過ごしてたから、全然、不安じゃなかった。ありがとな。」 「いや、僕は何もしてない。僕の方こそ、ゼロに会えて良かった。ありがとう。ゼロ。」 「もう…行くよ。」 バサッ…。 見上げると遥か彼方に見える光の中に、翼を広げた影が見えた。 翼を羽ばたかせて下に降りてくる。ゼロだ。 「ツバサ。」 「………?」 白く輝く立派で綺麗な翼。ふわっと柔らかそうなシルバーの髪がキラキラして、古代ローマの神話から飛び出て来たような美しい容姿。白いロングのコートも所々、紐で綺麗な細工がしてあって…全体的に綺麗過ぎて…言葉を失った。 「ゼロ…君は天使なの?」 「ぶはっ。ハハハ。ツバサ、俺は天使じゃないよ。面白いなぁ、ツバサ。」 「ゼロ…。もう行くんだね?」 「うん。ツバサ、どうしても、もう限界だと思った時には、俺を呼んで。何とかなりそうなら、自力で頑張れ。いいな?」 「うん。わかった。ありがとうゼロ。」
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