禿頭の悪魔

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相手は銃を構えていた。それなら先手必勝、拳の間合いまで距離を詰める。 しかし相手もさるもの、慣れた手つきで銃口をこちらの眉間に当ててくる。しかしまだ遅い。重心を逸らし、難なく避けようと――― 「ッッ!!」 ――した刹那、致命的なミスに気付く。そう、このまま俺が避ければ、弾が当たるのはマルタだ。何とか射線に体を庇う形で入れ、銃身に手をのばす。この一撃で俺が倒れてしまえば、焼け石に水だ。俺が崩れた後にはマルタが脅され、あるだけの金品をかっさらった奴らは、マルタさえも奪っていくだろう。 極上の売り物として。
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