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そして、数瞬の後――すべてが、音を立てて動き出した。
「――!!」
そうして、なすがまま俺は禿頭の強盗の手から自動小銃をはぎ取り、そこらの床に転がす。
すかさず左ジャブ、右ストレートのワンツー。とどめの肘鉄で、強面の巨漢はいともたやすく気絶した。存外鍛えてはいなかったようだ。
しかし俺は気絶した強盗を拘束するでも、敵はこいつ一人か確認するでもなかった。
まだ思い通りに動いてはくれない頭は、なんとか言葉をひねり出す。
「え、と、マルタ、怪我はないか?」
「う、ん…」
冷静になって殊更に、事の異質さに心づく。
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