268人が本棚に入れています
本棚に追加
/289ページ
御子さまファミリーのなかでも、水魚さまや猛さまの人気は高い。
今まで、美沙は、ファミリーにまで、さわぐ人の気持ちはわからなかった。でも、目の前で見ると、そんな人の気持ちも理解できる。
やはり、この人たちは特別なのだ。
美沙みたいな、ただの人工子宮育ちのクローン市民とは違う。存在の根本から。
「招待はペアです。お友達も来ても、かまいませんよ」
「ええッ、いいの? 美沙、いいの?」
この状態の璃々花に、ダメとは言えない。冗談でなく、殺されるかもしれない。
「いいよ」
「ありがとうーッ! 御子さまに会える。会えるよォッ」
「そうだね。うん……」
ぼんやりしてた美沙は、手に持った針で指をついてしまった。
その痛みは、やっと、この信じられないような幸運が現実のことだと教えてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!