一章 パンデミック襲来

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御子さまファミリーのなかでも、水魚さまや猛さまの人気は高い。 今まで、美沙は、ファミリーにまで、さわぐ人の気持ちはわからなかった。でも、目の前で見ると、そんな人の気持ちも理解できる。 やはり、この人たちは特別なのだ。 美沙みたいな、ただの人工子宮育ちのクローン市民とは違う。存在の根本から。 「招待はペアです。お友達も来ても、かまいませんよ」 「ええッ、いいの? 美沙、いいの?」 この状態の璃々花に、ダメとは言えない。冗談でなく、殺されるかもしれない。 「いいよ」 「ありがとうーッ! 御子さまに会える。会えるよォッ」 「そうだね。うん……」 ぼんやりしてた美沙は、手に持った針で指をついてしまった。 その痛みは、やっと、この信じられないような幸運が現実のことだと教えてくれた。
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