二章 海と星、金魚

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目がさめると、美沙は白いカベの病室のようなところにいた。 自分の体から、いろんな管や器具が伸びている。目もかすむし、体はピクリとも動かない。 部屋のなかに、誰か立ってる。 水魚さまと猛さまのようだ。 「蘭は、どうしてますか?」 「放心してるよ。むりもないよな。自分の好きな子が、二度も殺されかけたんだから」 「よく調べたら、あの璃々花という子は、以前、蘭をストーキングしてた女のクローンでした。処分しておきますよ」 「ああ」 「ほかの子は記憶を消して、家に帰しましょう。この子も」 「そのほうがいい。おぼえてても、つらいだけだ」 「近ごろ、蘭が気落ちしてたから、よかれと思ってしたことだったのに。うまくいかないものだ」 猛さまが、ため息をつく。 「今回は、早いかもな。眠りの周期」 水魚さまも、ため息を返した。 「でも、まだ、私や、あなたが死ぬところまでは思いだしてない」 「つらいよ。このために生まれてきたとはいえ」 そこで、水魚さまが、ふりかえった。 「おや。気がつきましたか。安心なさい。ケガは、すぐ治りますよ。それまで、ゆっくり眠るといい。何もかも忘れて」 いやや。忘れとうない。 やっと思いだしたのに。 うちの大切な思い出、とらんといて……。 けれど、意識は混濁した。 美沙は深い眠りに、いざなわれた。
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