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格納庫は防災備蓄倉庫も兼ねていたため、食料や最低限の生活用品などの物資が蓄えられていた。
だが、空調システムの低く静かな作動音は、途切れ途切れになっていた。
時々、完全に聞こえなくなることもあった。
復旧の余地があるのかどうか、タツミたちには判断がつかなかった。
明らかなのは、システムがダウンしていて応答しないこと、そして復旧させる手立てを2人は持たない、ということだけだった。
外部からの空気を遮断する構造の格納庫にとって、この空調システムは生命線だ。
それが作動しなくなりつつあるということは、ここに「格納」された2人にとって、生き延びる手段は絶たれているということを意味していた。
タツミとミサキは、こうして非常時にはシェルターとして機能する格納庫に偶然いたため、奇跡的に難を逃れた。
だがしかしこの格納庫から出るすべは無く、遅かれ早かれ終わりがやってくることは自明だったが、タツミもミサキも、そのことには触れなかった。
自分たちが生き残った意味について考える精神的余裕は、残されているはずもなかった。
考古学研究室員が抱く最大の関心のひとつは、旧文明が滅びた原因だ。
それを解明することもままならないうちに、今の文明も、まもなく旧文明になろうとしていた。
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