世界の終わり

2/16

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
 タツミは、考古学を専攻している学生である。  彼が通学している国営の学び舎は、旧文明においては「シンジュク」と呼ばれていた地に建っている。  考古学研究室のある建屋の地下には、旧文明の貴重な遺物や資料を収蔵しているシェルターのような格納庫がある。  外気が入らないよう空調システムが完備され、室温・湿度も常に一定となるようコントロールされている。昼間でも薄暗い、厳かな雰囲気すら漂う地下室だ。  内部は狭い。  教授は、その狭さを旧文明の基準で表した言語表現のひとつに「ロクジョウヒトマ」というものがあるということを学生たちに説いた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加