世界の終わり

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 タツミとミサキが資料の整理を始めたのとほぼ同時刻に、終わりの始まりが起こった。  この星の陸地に点在する生活エネルギー供給施設が、一斉に制御不能に陥った。  そして連鎖的に崩壊が進み、未曽有の爆発を引き起こすに至った。  それはあまりにも急な出来事だった。  原因や対策を究明することはおろか、破壊されつくしたあらゆる建造物の下敷きになるのを防ぐことすら出来ないまま、人類は、莫大な量の瓦礫と有害物質の渦の中に果てた。  人類の文明が消滅する直前、臨時ニュースは、この悲劇が「人為的に起こされたものである可能性が高い」ということを告げた。  それ以上の情報を得る手前で、タツミとミサキの携帯端末のバッテリー容量はゼロになってしまった。  格納庫内の自家発電装置も機能しなくなっており、いくら操作しても起動することはなかった。  外界の情報を得る手段の一切は失われていたが、その情報を発信する者ももはや存在しない。  いや、今や外界には、そもそも「情報」と呼べるようなものすらもう存在してはいないのであった。
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