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あられもない悲鳴を上げて、尻もちをついた直樹を、カインは容赦なく蹴り上げた。右手に持っていたナイフでサッと膝を切りつける。直樹は自分で自分の悲鳴をうるさいと感じながら声を上げた。
「いやあ! きゃああ! 助けてえ! どうしてええ!」
騒いでいたら頬を殴られた。骨まで達する激痛に喋る気も失せて、ぐったりと道路に寝転がる。何やら急激な眠気に襲われて、目を閉じていたら、すぐ傍でブレーキ音がした。
「何やってんだ!」人の声。走り去る靴音。
助かったと理解したのは、病院で目覚めた時だった。
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