ふたりのルール

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あたしがあんまり近くにいるもんだから、ポットを掴んだけいちゃんの肘が、あたしの肩にぶつかる。 「あ、ごめん」 「う、ううん」 「お湯、掛かったりしなかった?」 あたしの顔を覗きこんで、けいちゃんは心配そうに言う。 「へーき…」 「良かった」 チュッ、と軽く唇に触れられた。それだけで、あたしの中の抑えつけてた感情が、堰を切ったように溢れだす。 「けいちゃん、好き…」 けいちゃんの腰に腕を巻き付けて、けいちゃんを見上げる。キスをねだってるみたいな、こんな仕草、今までは自分からしたことなかったのに。 「俺も好きだよ。ごめんな、いっぱい我慢させて」 けいちゃんは、あたしの後頭部に手を添えて、自分の方に引き寄せる。今度は触れるだけじゃなくて、長い深いキスになった。 けいちゃんの舌が、あたしの口の中をかき混ぜると、それだけで頭の心が痺れてくる。けいちゃんが好きな気持しか残らなくなっちゃう。 「…んっ…」 「千帆、可愛い。今、すげーえっちな顔してる」 「う、うそ…っ」 「そんな顔、間違っても教室でするなよ」 「し、知らないもん」 悔しくって恥ずかしくって、 「けいちゃんのえっち。セクハラロリコン教師」 そんな暴言をけいちゃんに浴びせる。 「はいはい。どうせ俺はロリコンですよ」 けいちゃんは開き直って、あたしから離れてく。あれ? もう、終わり? 「ご飯食べよ?」 「う、うん…」 まるで授業が終わって休み時間になったみたいなけいちゃんの切り替えに、あたしだけ着いて行けない。 済ました顔で、トーストを焼き、スクランブルエッグを作ってるけいちゃんに、蒸し返すのも癪で、あたしはスクランブルエッグに添えるというレタスをバリバリちぎった。
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