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「お前、それ全然授業にかんけーないじゃん」
あたしの反応を窺うようにけいちゃんは、一瞬だけこっちを見て、あたしにも聞こえるようにか、声のトーンを少しあげて答えた。
「いるよ。超可愛くて、超ラブラブの彼女」
「……」
ほ、本人目の前にしてよく言えるな。
けいちゃんの何も考えてない軽薄さに呆れると同時に。
やばい、どうしよ。顔、にやけちゃう。英語の文字の羅列なんて、ちっとも頭に入っていかない。
「えー、そうなんだ」
「やっぱり、いるよねえ」
他のふたりの女の子は、ちょっと残念そうに、でも納得といった表情。けど、沖本さんだけは違った。さっきまでニコニしてたのに。
「そう…ですか」
自分で聞いたくせに、低い声で面白くなさそうに相槌を打つ。けいちゃんのシャツを掴んでた手は、するりと彼女の手から抜けた。
なんか…怖い、この子。
蚊帳の外で見てたあたしの視線を感じたのか、沖本さんはあたしの席の前の通る時に、きっとあたしを睨んで、教科書一式を持って、出て行った。
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