第3章 秘密の重み

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あたしの物分かりの悪さに焦れたのか、けいちゃんは端的に言って、あたしの両頬を左右から引っ張る。 「お前、俺にわざと言わせてるだろ」 「ひがいまふ」 けいちゃんに引っ張られたままで、口がつれてうまく喋れない。あたしの無様な顔をけいちゃんは、面白そうに見下ろす。こんな顔、イケメンのけいちゃんに見られるとか、何の拷問。 なのにけいちゃんは乙女ゴコロを全く理解してくれない。どんどんあたしに顔を近づけてくる。やだよお、見ないでよお。恥ずかしくて、目を伏せたら、唇に熱い衝撃を受けた。 やっと離れたけいちゃんの手から、あたしは更に離れようと、後ずさる。すぐに図書室の窓にぶつかったけど。 「け、け、けいちゃんっ」 今、したよね? キスしたよね? 神聖な学校で。しかもあたしの顔、びろんて伸ばされた変顔のままで。
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