第3章 秘密の重み

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SIDE keishi 学年会議を終えて、俺は職員室に戻る。学年会議だ職員会議だ、無駄に拘束時間が長い。学校の中も、一般の企業と変わりない。 会議室を出た途端、ひとつ欠伸をしたら、隣のクラスの担任の本田先生に肩を叩かれた。 「生徒に見られますよ」 いや教師だって、欠伸くらいフツーにすると思うんですけどね。3つ年上で数学を受け持ってる本田先生は、年が近いこともあって、よく話す。偉ぶらないし、聞いたことは丁寧に教えてくれるし、優しい穏やかな人柄は、生徒だけでなく先生からも信頼されてる。ちょっと真面目過ぎるきらいがあるけど。 「あ、すみません」 「戻ったら一服しませんか?」 とこの場合のこれは、タバコでなくてティータイム。職員室内でも禁煙になり、消費税も上がって、喫煙家の先生は片手に余るほどしかいなくなった、ということだ。教師の数は50名以上いるのに。 「コーヒー淹れますね。僕」 少しは年下らしさを見せようと言うと、「いいですね」と本田先生は笑った。 そんな話をしながら、職員室に戻ると、ひとりの女生徒が俺を待ち構えるように立ってた。 「遠藤先生」 駆け寄ってきたのは沖本綾乃。本田先生のクラスの女生徒だ。でも俺に用があるらしい。「遠藤先生人気ありますね」一言呟いて、本田先生は先に職員室に戻ってしまった。 頼むよ、沖本。自分の担任にも気使ってくれよ。ついでに俺の学内の人間関係も。 しょっちゅう彼女に追いかけられて、俺はうんざりし始めてる。千帆も気にしてるし。 それでも生徒を邪険には出来ないのだ。 ちょっと引きながら、俺は彼女の前で立ち止まった。。
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