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「中に、大きなねずみがいる、って通報あってね。パニックになるといけないから、一旦締めきって捕まえてた。すぐにまた、開館の札提げ直したけどね。間が悪かったみたいだね」
「そんなことあったんですね。こわ~い」
「うん、中に入らなくて正解だったと思うよ」
なんとか誤魔化せたかな。胸をなでおろしたのも束の間だった。
「でも、先生、あたしがもう1回図書室行ったら、春日さんが図書室から出てきたのはどうしてですか?」
…こえ~な、この子。ホントはずっと張り付いてたんじゃないか? 何もかも知っていて、少しずつカードを出して追い詰めようとしてる…危惧は胸の内に収めて、顔はなるべく平静を装った。
「春日には会わなかったからなあ。そこまでは」
しらばっくれた俺の返事を沖本が信じたかどうかは知らない。
「そうですか」
沖本はがっかりしたように相槌を打った。彼女を残して、職員室に戻って、大きく溜息をつく。
学校での秘密の恋なんて、つくづくするもんじゃない。
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