第3章 秘密の重み

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前の七海から回されてきた冊子にあたしは、自分の名前を書いた。今月の終わりに行われる修学旅行についてのもの。3年生の最大級のイベントの知らせに。教室中がどよめきたって、一斉に冊子をめくる音が響いた。 あたしは、もう昨日何回も何十回も読んじゃったけど。 昨日けいちゃんちで、ふたりでハーゲンダッツ食べながらまったりしてたら、突然けいちゃんが叫んだ。 「やべっ。修学旅行のしおり、作ってない」 5枚10ページにもなる旅程表の冊子。けいちゃんのノルマ50冊分。 「…て、手伝う?」 なんて言ってしまったのが運のツキ。あたしとけいちゃんはひたすら用紙を折って重ねて、ホチキスで綴じる…という行為を繰り返した。 せっかくのお部屋デートだったのに。 「けいちゃん、飽きた」 「うん。俺も。終わったら、何か食いに行く?」 「また誰かに見つかったら嫌だから、家で食べたい。お寿司とっていい?」 「足元見やがって…いいよ」 「わーい。うにといくらが入ってるのがいいな。茶碗蒸しもつけていいよね」 ぐだぐだな会話をしながら、けいちゃんと作ったしおりが、今またあたしのとこに戻ってきただけの話だもん。あ、この几帳面な綴じ方、絶対けいちゃんだ。 「早く行きて~」 俄然テンション上がってきたらしいのが、酒井くん。 「九州ってさ、うまいもんいっぱいあるよな。一緒に博多ラーメン食おうぜ。あとちゃんぽんと熊本ラーメンと…」 「ラーメンばっかじゃん」 七海に酒井くんが突っ込まれて、あたしはくすくす笑う。 行き先は九州。日程は6月15日~20日まで。…6月19日は…。 「ちぃ、長崎で誕生日迎えるんだね」
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