第3章 秘密の重み

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夜になって、けいちゃんから電話があった。 高校教師は見た目以上に大変らしく、けいちゃんの帰りもいつも遅い。今も、夜9時を回ってる。 いつも帰ってきてすぐにあたしに連絡をくれるから、けいちゃんがキッチンに立って、夜ご飯を作りながら…ってのが殆ど。時々聞こえる操作音は、肩と耳にスマホを挟んでるから、思わぬところを押しちゃって、出るものなんだと思う。 今もけいちゃんの声と水音が響いてた。 その水の音がしなくなってから、けいちゃんがポツリと言った。 「千帆さあ、酒井となんかあるの?」 普段の声より低いけいちゃんの声。探りをいれるような言い方も、らしくない。 「なんか…って?」 「今日も一緒に帰ってたし、そもそも委員会決める時だって、仲良く手繋いで立候補だろ?」 「手を繋いでたわけじゃ…」 あれは、逃げないように掴まれた、のが正しい。だから、けいちゃんの仲良く、って認識は間違ってる。 「あんまりさあ、見せつけるようなことすんなよ」 イラッとしたように、けいちゃんに言われて、あたしはカチンと来てしまった。
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