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「み、せつけてなんてないよっ。そんなこと言ったら、けいちゃんだって、沖本さんとイチャイチャしてるじゃん」
「イチャイチャ? 俺が? いつ」
「こないだの公園の時も、頭撫でてたし」
「犬のだろ」
「今日だって、予定聞いてたし」
「あれは、千帆と彼女が鉢合わせないようにだろ? 大体、学校での交友関係に口出ししないルールでしょ?」
「先にけいちゃんが、口出ししてきたんじゃない」
もんのすごいくだんない痴話げんか。でも、止まらない。
「夜になって電話でぐちぐち言うくらいだったら、あの時に言えばいいじゃん。やめろ、って。一緒になんて帰るな、って」
けいちゃんは酒井くんに、あたしは沖本さんに。
ずっとモヤモヤしてたもの抱えてたんだと思う。自分でも気づかないうちに。
だから、それが爆発したって感じ。こんな怒り方するくらいなら、もっと早くに言えばよかったのに。
バン!と何かを叩きつけるような音が機器越しに届いて、あたしはブルっと肩を震わせた。
「それが出来たら俺だって…」
いっつもほわほわしてるけいちゃんの、こんな苦しそうな声を初めて聞いた。
俺だって…何?
でも、ぷちっと通話はそこで切れた。
けいちゃんとのつながりがシャットアウトされた証を聞きながら、鼻の奥にツンと涙がこみ上げた。とっくに、あたしは自分の言ったことを後悔してた。
初めてケンカなんてしちゃった…。
やっぱり無理なのかもしれない…。担任の先生との秘密の恋なんて。
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