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福岡空港は、曇天に包まれてた。いつ、雨が降り出してもおかしくなさそうな、どんよりとした空。
週間予報、全部まとめて傘マークついてたもんな…。一昨日気象庁が梅雨入り発表してたしな…。
何でこんな時期に修学旅行が行われるのか。まるでこの先に起こる何かを暗示してるような………
「ひゃっほー。九州初上陸」
だけど、そんな悪天候は全く歯牙にも掛けない人もいる。わざわざ足を揃えてジャンプして、酒井くんはボーティングブリッジに降り立った。
無事に、追試も終わって、今日から修学旅行。
「今日、何処行くんだっけ」
酒井くんがあたしに訊く。
「太宰府天満宮じゃなかったっけ」
あたしもそんなにしっかり旅程表、読み込んでないけど。
「あーそうそう。それそれ。なんか、母さんがあんたばかなんだから、しっかり拝んでき
なさい、って言われた。…何で?」
酒井くん、あたしに聞かないでよ。人選誤ってる。
「学問の神様だから?」
よく聞くフレーズをあたしは酒井くんに伝える。
「頭のいい神様なんだ。てか、神様にも頭いいのとか、悪いのとかいるんだな」
酒井くんがぼそっと呟いてたら。
「祭神は菅原道真。宇多天皇に登用されて、右大臣にまで登りつめた人だよ。学者としても有名で、生家は位が低いにも関わらず、個人の能力を買われて出世したから、学問の神様として、崇められてる…」
ウィキでも丸暗記したような模範的な説明が、酒井くんの後ろから降ってきた。
「け…先生」
「遠藤ちゃん」
制服のあたし達とは違って、今日のけいちゃんは黒のポロシャツに白いスキニーのパンツにスニーカー。いつもは、もうちょい私服のセンスいいのに、微妙にゴルフウェアなのは、他の先生との釣り合いも考えてかな。
「ちなみにこの辺、先週授業でやったんだけどな。お前ら、全然記憶に残ってないんだな」
反応の悪いあたしたちに絶望したように、けいちゃんは溜息をつく。
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