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午後はスペースワールドを見て、福岡と大分の県境の鄙びた温泉に泊まる。古そうな宿で、お世辞にも綺麗とは言いがたい。他になかったのかな…。
入る前からみんながボロいだの、きたねえ、だの、けいちゃんに文句言い通しで。
けいちゃんは苦笑いしながら、「あんまり失礼なこと言うなよ」と生徒を諌めてたけど、「俺だって、ヤダっつーの」みんながワイワイ言いながら、宿の玄関に入った時ポツリと呟いたそっちのが本音。
埃アレルギー大丈夫か?と思ったら、やっぱり鼻ぐじゅぐじゅさせてたし。
「あら、先生が風邪ですか?」
と宿の女将さんに聞かれて、けいちゃんは目を充血させながら、否定してた。
この宿は、一室5~6人の大部屋だった。夜9時以降は自由時間で、11時には消灯…ってなってるんだけど、もちろんみんな寝やしない。ジュース買ってきて、持参のお菓子広げて、ガールズトーク…と思ったら、金谷くんや酒井くん、他にも男の子がふたり遊びに来ちゃった。
金子くんの出来たてほやほやの彼女の広川さん、同じ部屋だったから。もちろん、このふたりに話題集中。
「いつから付き合ってるの?」
「告ったのどっち?」
「何処が好き?」
みんな容赦ない質問攻め。広川さんは恥ずかしいのか殆ど答えないけど、金谷くんはノリノリで答えてくれた。ノロケも全開。
なんか、いいな。こういう風にみんなの前であけっぴろげに出来るの…。ちょっと羨ましい。
ほうっと溜息をつくと、こっちに矛先が回ってきた。
「千帆こそ、どーなのよ」
「そうだよ、彼氏いるんでしょ?」
散々詰め寄られて、暴露させられる。こーゆー時の女の子の集団ってコワイよね。
「千帆の彼氏って年上なんだ」
「え、いくつ?」
「何処まで行った?」
「キスとかやっぱうまい?」
あたしのお布団の周りにみんなにじり寄って聞く。
「22? えっとえっと、最後まではしてない…。初カレだから、うまい言われても、わかんない…」
とりあえず、けいちゃんのプライバシーの侵害にならないような当たり障りのないことだけ、答えてみた。
そんな感じで盛り上がってたら、ある子のスマホにラインのメッセージが入った。同じクラスの別の部屋の子。
「今、遠藤ちゃん点呼回ってるよ~、…だって」
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