第5章 夏の迷い道

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うわ、けいちゃん。さらっとなんてことを。けいちゃんのお嫁さん。いい響き。 けいちゃん、白のフロックコートとか気障なのも着こなしちゃいそう。うん。いい。この想像でご飯3杯イケる。やっぱり教会式がいいな。ブーケトスにライスシャワー、女の子の憧れ。 妄想モード全開だったのに、けいちゃんは。 「冗談だ冗談、ほら、真面目に考えろ。担任として、相談乗ってやるから」 自分が振った話なのに、思いっきり水をさしてきた。 「けいちゃん、ひっどーい。あたし、その気になっちゃったのに」 「…ごめんごめん」 くすくす笑ってから、けいちゃんは淹れたてのコーヒーに口をつけた。あたし、からかわれただけみたい。 下から向かいの席のけいちゃんを睨めつけると、けいちゃんはもう1回身を乗り出す。 「それはまた未来の話…な」 あたしの耳元で囁いてから、けいちゃんはちゅっと、頬にキスしてきた。 「未来って?」 簡単に懐柔されたくなくて、あたしはけいちゃんに突っ込む。 「千帆には進学して、社会にも出てほしいな。俺、待ってるから」 今度は反対に、けいちゃんがあたしの前髪を撫でて、くしゃくしゃってする。大学卒業して、働いて…最低でも5年後だよ、うう。その時もあたしたちは一緒にいるのかな。けいちゃんは、あたしの隣にいてくれるのかな。 「で、でもその時にはけいちゃんは、新しい生徒とよろしくやってるかも…」 「? 何で生徒…?」 「だって、けいちゃんロリだからあ。男の人は新しいものい弱いって言うし…きっとその頃、あたしはお払い箱になって…」 「だからお前は何処でそういうつまんない知識を得てくるの。大体俺は、女子高生なら誰でもいいわけじゃない」 千帆限定のロリだから!とおよそ自慢にならないことを自信満々にけいちゃんが宣言するから、思わず笑っちゃった。
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