第5章 夏の迷い道

40/43
前へ
/43ページ
次へ
考えておいて――と、けいちゃんはあたしに言う。何処がいいかな。遊園地。海、プール。あたしの中はわくわくした妄想でいっぱいになる。 「千帆、ゲンキン」 途端に上機嫌になったあたしを、けいちゃんがからかった。自分でもそう思うけど。 「だって、滅多にないし」 「だよな。我慢させてばっかりだもんな」 くしゃっと頭を撫でてから、けいちゃんは「また連絡する」と帰って行っちゃう。夕闇に小さくなってく後ろ姿をじいっと見送ってから、あたしはみんなのとこに戻った。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

282人が本棚に入れています
本棚に追加