第10章 聖夜の奇跡

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家に帰ると、お母さんはすっごく張り切って、クリスマスディナーの準備してた。ローストチキンにかぼちゃのポタージュ、シーザーサラダにパエリア…。 毎年、クリスマスにはご馳走出てくるけど、今年の力の入り方は尋常じゃない…。 「どしたの、お母さん、このご馳走」 あたしは味見と称して、パエリアのホタテをつまみながら聞く。 「ふふふ、お母さん、張り切っちゃった。今日はお客さん来るの」 「お客さん? 珍しいね。お父さんの知り合い?」 「そんなとこ。だから、あんた早く着替えてきなさい。ジャージはあとで後悔するからね」 「はーい」 言われてあたしは、キャラクターのプリントトレーナーと赤いチエック地のミニのスカート、下に黒のスパッツを履いて、また階下に降りた。 ピンポーンと来客を告げるチャイムが鳴って、あたしはお母さんに促されて渋々ドアを開けに行く。廊下、寒いから出たくないのに。 「はーい」 と無愛想に出た、あたしはノブを掴んだまま、雪像みたいに固まった。
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