第10章 聖夜の奇跡

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いつの間にあんなにお母さんと仲良くなってるの? あれは相当、あたしの知らないとこで、電話とかメールのやりとりしてそう。そもそもけいちゃんが、うちの親の結婚イヤーを知ってるはずがないんだ。 「けいちゃん、もうあたしに隠してることないよね?」 あたしは牽制のつもりで言ったのに。 「あるよ」 けいちゃんは、いつも以上の甘ったるいスマイルで言い切った。 隠し事をこうも堂々と「ある」って言われたのは初めて。 「な、何?」 あたしが詰め寄ろうとしたところに、今度はお父さんが帰ってくる。お父さんの帰宅時刻もいつもより早い。 この間のお父さんのしかめ面を思いだして、あたしは焦る。でも、「こんばんは」って挨拶したけいちゃんに、お父さんも「いらっしゃい」なんて穏やかに返す。友好的な雰囲気は、この間の爆弾低気圧から一気に小春日和が訪れたみたい。 「お父さん、けいちゃん来てていいの?」 「いいって当たり前だろう…お前の婚約者なんだから」 お父さんが落とした爆弾に、あたしのパニックは最高潮に達した。 え~~~~~~~~~~!? 今年ラスト、そして最大のサプライズだった。
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