第10章 聖夜の奇跡

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ふたりで謝ってから、ぎゅうって抱きしめ合った。けいちゃんの温もり、匂い、感触。全部、自分の身体に刻みこむみたいに。 「けいちゃん、これ嵌めて」 握りしめてた手のひらを開いて、あたしはけいちゃんにお願いする。けいちゃんはあたしの手から、銀色の指輪をつまみあげて、あたしの左指の薬指に指輪を嵌めてくれた。 「幸せになろうね、千帆」 ちゅっと、あたしの薬指にキスしてから、けいちゃんは今度は唇にもキスしてくる。そう言えば、まともなプロポーズって、この一言だけだったかもしれない。けいちゃんらしいな…って思いながら、あたしは幸せの絶頂を噛み締めた。
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