第10章 聖夜の奇跡

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「ちーほ、何で泣いてるの?」 「今の彼女に元カノとの別れ話聞かせるなんてサイテー」 「…うん、ごめん」 でもあの場で「出てて」って退場促しても、千帆はきっと出て行かなかっただろう。 「あたしは、絶対けいちゃんと別れないから」 みつきとは違う、千帆のしなやかで伸びやかな強さが好きだ。 「俺も同じだよ」 同じというより、より強くより深く、手放したくないと思ってるのは俺の方だ。 例えば千帆が、みつきみたいに留学したいって言ったら、笑って送り出してやりたい。でも、帰って来る場所は俺のところしかないんだと、千帆が安心して旅立てて、俺はゆったりと構えて待っていられる場所が欲しい…。だからこそのプロポーズ。確かな約束を、千帆の未来を誰より望んでるのは、俺なんだ。
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