第10章 聖夜の奇跡

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千帆の作ってくれた雑炊と栄養ドリンクその他のお陰か、次の日には熱も下がって、その次の日には無事学校にも戻れた。 「遠藤ちゃん、高熱で種無しになってない~? 俺、いつでも精子提供するから」 なんて酒井のふざけた発言は、失恋のショックからだと軽くスルーしてやった。俺だって、ずっと禁欲生活なのに、誰がお前なんかの。 俺にはもっとやるべき大事なことがあるっつーの。すっかり体調も持ち直した金曜日の夜。 俺は、駅で人を待ってた――。 普段車通勤だから、駅には滅多に寄り付かない。増して、ラッシュアワーの混雑した駅の自由通路のコーヒーショップの前。 待ち合わせの場所と時間は合ってるはずだけど、15分過ぎてもその人は来ない。 (…すっぽかされたかな、それとも見逃した?) 改めてセッティングするのは、更にハードルが上がりそうだな…と思った時。 「遅くなってすみません」 小走りに千帆のお父さんが、俺の方に向かってきた。
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