《第1話 辰乃編》第1章《辰乃視点》

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「一人っ子ゆえ、 私が跡を取るしかない。 他家から婿を取るしかなかろうな」 そんな言葉を 士族の長男の彼に ビシッと言うてしまうなど……   どうかしておったわ。 貴方とは一生添えないと 答えたようなものではないか。 「そ……うか……」 「どうかしたか」 いや……と呟いて閉口する阿万祢。 今考えれば無理もなかったのだ。 それ以上 何も言えなくしたのは――私だ。 別れ際の四つ辻に差し掛かると、 いつものように肩に回される   しなやかな腕。
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