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「一人っ子ゆえ、
私が跡を取るしかない。
他家から婿を取るしかなかろうな」
そんな言葉を
士族の長男の彼に
ビシッと言うてしまうなど……
どうかしておったわ。
貴方とは一生添えないと
答えたようなものではないか。
「そ……うか……」
「どうかしたか」
いや……と呟いて閉口する阿万祢。
今考えれば無理もなかったのだ。
それ以上
何も言えなくしたのは――私だ。
別れ際の四つ辻に差し掛かると、
いつものように肩に回される
しなやかな腕。
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