《第1話 辰乃編》第1章《辰乃視点》

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あれは誰だ、と咲子に問う。 咲子は女学生当時の 同室の後輩だ。 私の試合を応援したいと言うので 連れてきてやった。 「まあ、お姉さまが 殿方に興味を持つなんて珍しい」 からかいたいのか何なのか、 こういう類の会話は苦手なのだが 咲子はお構いなしだ。 「そういうわけではーー」     面倒なので それ以上は話を広げず とっとと表彰台にのぼった。 女子の準優勝が私で、 男子の準優勝があいつか。 ふうん。 だからどうということもない。 帰ろうと思うて 道具を片付けていると、 声をかけてきたのは向こうだった。
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