《第1話 辰乃編》第1章《辰乃視点》

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あのとき何を言われたのか、 今となってはよく覚えていない。 多分、演技が良かったとか そんなふうな 誉め言葉だったのだろう。 ただ家が近いという 情報を得たことだけは はっきりと覚えている。 それから何となく 会うようになって、 明確な告白などは 一度もないものの 気づけば今のような 関係になっていた。 ……ろくに手を繋いだことも ないけれど、 それでもこうして 別れの四つ辻に 与えてくれる温もりが この人の心を伝えてくれる。 それで充分だと思っていた。
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