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この日、
新しく開店した小間物屋で
阿万祢が買ってくれたリボンを
翌日の朝さっそくつけてみた。
「まあお姉さま、ステキ」
小間物に目がない咲子が
食いついてくる。
女学校を卒業した後に咲子は
うちの菓子屋の
奉公人として働いている。
そうまじまじと見るな。
照れるではないかっ。
それに多分、つけ比べたら
お前の方がよほど似合うだろう。
それがわかっているから、
羨ましそうに
そわそわしている咲子に
『貸そうか?』とは
あえて言わない。
……これくらいは意地悪には
入らぬだろう、
入らないで欲しいツラいから。……
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