《第1話 辰乃編》第1章《辰乃視点》

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この日、 新しく開店した小間物屋で 阿万祢が買ってくれたリボンを 翌日の朝さっそくつけてみた。 「まあお姉さま、ステキ」 小間物に目がない咲子が 食いついてくる。 女学校を卒業した後に咲子は うちの菓子屋の 奉公人として働いている。 そうまじまじと見るな。 照れるではないかっ。 それに多分、つけ比べたら    お前の方がよほど似合うだろう。 それがわかっているから、  羨ましそうに そわそわしている咲子に 『貸そうか?』とは あえて言わない。 ……これくらいは意地悪には 入らぬだろう、 入らないで欲しいツラいから。……
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