第2章  寂しさの色は《和助》

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おそらく辰乃は、 僕のこと なに言ってもこたえない 鉄の心臓みたいに 思ってるのかもしんないけど 実際はけっこう傷ついている。 なんてことは 死んでも告白しないけど。   弱気を見せては駄目だ あの人には。 だって弱いから。 何でか分かんないけど…… 「なんでぇ、こっちにいたのか」 髭もじゃの ガタイの良い兄(あに)さが 焼き魚の辻売りから帰ってきた。 この人は銀次と言う 商売人の親父だ。 親父と言っても 本当の父じゃないし、 まして兄でもない。
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