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こうして秋が近づいてくると
兄さと初めて会った日を
思い出す。
僕は行徳よりずっと寒い北国の、
貧しい農家に生まれた。
他に三人の兄弟がいたけれど
流行り病でみな死んでしまった。
凶作が重なった年に今度は
出稼ぎで体を壊した父が死に、
4年後には母まで逝ってしまった。
僕はまだ10歳だった。……
親のいない農村の子供を
引き取ろうなんて人はいない。
みんな自分たちの生活で
手一杯なのだから。
村長はあまり良くない人で、
僕をよく分からない人買いに
売ってしまった。
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