第2章  寂しさの色は《和助》

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人買いのおにいさんが 言うことには、 なんでも僕は器量良しだから 男でも女でもどっちでも 買い手はつきそうだ、 一応聞く どっちがいい。 今思うと、 そこ聞いてくれただけ 親切な人だったのかもしれない。 ただ10歳の僕は 何だかよくわからず、 何となく男は嫌だと思って 「じゃ、女?」 みたいに適当に答えた。 答えたような気がする。 ……でもあの脂粉香水の 記憶を思い出すと いろいろと吐き気がしてくるから、 この下りはあまり 突っ込まないで欲しい。   そのうちに 奇特なおばさんが現れて 僕を身請けしたいというので、 この人なに考えてるの。 とおもいつつ 今の生活よりはましだなと思って おいそれとついていった。
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